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vol.267 地球深部の水の循環を担う 鉱物の性質を解明!2015/11/18

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地面を掘って、掘って、とにかく掘って、深さ30キロまでいくとマントルがあります。マントル…学校の授業や、科学事典などで馴染みのある単語ではないでしょうか。しかし、深さ30キロに到達できた人間は、まだこの世に1人もおらず、地中のマントルがどのようなものなのかについては謎が多く残されています。

たとえば地球内部には、地球表層をおおう海水の数倍から数十倍の水が存在すると見積もられています。しかし、その水の状態や量についてはほとんどわかっていません。地球の表層に存在する水は、岩石と反応して蛇紋石などの水を含んだ鉱物(含水鉱物)を形成します。このような含水鉱物が、プレートの運動によって地球の深部まで運ばれると高密度含水マグネシウムケイ酸塩(DHMSに変化します。DHMSは、結晶構造の違いにより、発見された順にA相、B相、D相…と名付けられています。最近まで、DHMSのD相は、下部マントル上部領域(約40万気圧・深さ1250km)に達すると脱水分解し、それ以上の深さまでDHMSが水を輸送することはないと考えられていました。しかし、2013年に東京工業大学の土屋旬准教授は、第一原理計算というコンピューターシミュレーションに基づき、この40万気圧付近でD相が異なる結晶構造をもつ新たな含水鉱物(H相)に変化し、さらなる地球深部へ水を輸送しうることを発表しました。そして今回は、米国コーネル大学のマイナック・ムカジー博士とともに、H相の結晶構造と弾性的性質(物質の固さや壊れにくさを示す性質)を明らかにしました。H相はマントルと核の境界付近の2900キロメートルまで水を運ぶ可能性をもっています。水は、岩石の溶ける温度を下げるため、マントル最下部でのマグマの発生を引き起こすなど、地球深部の物質や運動(ダイナミクス)に、大きな影響を及ぼします。H相の弾性的性質は、このような地球深部の水の循環経路を調べるうえで非常に重要な情報なのです。

私たちの足元、地面の下、30キロのところに、まだ誰も到達したことのない世界が広がっています。一度この目でマントルを見てみたいものです!

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