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vol.280動物の争いでいつ降参するかを 決める神経回路を発見2016/4/3

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「えさをよこせ!」「場所をよこせ!」「メスをよこせ!」。動物の多くは、同じ種類同士でも日々限られた資源をめぐって争っています。頭をぶつけあったり、つつきあったり…。しかし、どんな争いでも、どちらかが降参したポーズをとることで戦いは終わり、 相手が死んでしまうまで戦いが続くことはありません。戦いを終わらすための重要な「負けました」のポーズ。この行動がどう引き起こされるのか、脳の中のメカニズムは今までほとんど分かっていませんでした。

理化学研究所 脳科学総合研究センターの研究チームが今回使ったのは、いつも縄張り争いをしているゼブラフィッシュという魚。ゼブラフィッシュのオスは、お互いを威嚇し合った後、円を描くように泳ぎ、互いに噛みついて攻撃をしあいます。やがて、片方の魚は尾を下げ水槽の底の方でほとんど動かなくなり、それを合図に勝敗が決まり、攻撃が止まります。そこで研究チームは、闘争や逃走、すくみ反応など、動物のさまざまな防御行動に関わるとされる手綱核(たづなかく)脚間核(きゃくかんかく)の神経回路に注目しました。ここを詳細に調べたところ、手綱核が背側と腹側に分かれており、さらに背側の手綱核が、外側、内側の2つの領域に分かれ、それぞれ脚間核の背側寄り、腹側寄りにつながっていることを発見しました。この2つの回路のうち、外側からの回路の働きを人工的に抑制すると、魚は負けやすくなり、内側からの回路を抑制すると、負けにくくなりました。さらに詳しい解析により、背側手綱核の外側からの回路は闘争を持続させやすくし、内側からの回路は闘争を終わらせやすくするように働いていることを発見しました。このことは、手綱核と脚間核をつなぐ2つの回路が競い合い、「戦い続けるか」もしくは「降参するか」の正反対の行動のうちの1つが誘導されて、動物同士の優劣が決定されることを示しています。

この神経回路は魚からヒトまで共通に存在しいて、広く動物の闘争行動を制御していると考えられます。またヒトの社会におけるさまざまな優劣が決定される過程にも、関与している可能性があります。

絶対打ち負かしてやる!という気持ちも、降参…と素直に負けを認める心も、手綱核と脚間核をむすぶ神経回路がすべて制御しているのかもしれません。私たちの心って、どこにあるんでしょうね。

詳細・参考 理化学研究所プレスリリース(2016.4.1) http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160401_1/

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