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vol.281ゲノム編集でニワトリを品種改良 -低アレルゲン性卵の生産へ期待-2016/4/17

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今朝、何食べました?僕は、目玉焼きとトーストでした。日本人は国民一人当たりの卵消費量が世界第二位だそうです。私たちの食文化に根付く卵、一方で日本人の食物アレルギーの中で最も多いのも卵アレルギーです。卵アレルギーをもつ幼児が、誤って卵の成分を口にしてしまうと、場合によっては、呼吸困難、血圧低下、意識障害などの全身症状が起こり、命にかかわることもあります。

卵アレルギーを引き起こす主要な物質はオボムコイドタンパク質。今回、これを持たないニワトリが最先端のゲノム編集技術を用いた品種改良で生まれました。一般的に動物のゲノム編集は、受精直後の分裂前の卵細胞に対して行われます。しかし、ニワトリなどの家禽類では、受精直後の卵細胞の操作が難しく、ゲノム編集技術が適応できませんでした。そこで今回、産業総合技術研究所、農業・食品技術総合研究機構、信州大学共同で実施した研究では、受精直後の卵細胞ではなく、孵卵開始後2.5日経ったオスの初期胚からゲノム編集をスタートさせました。初期胚の血液から精子をつくりだす細胞となる始原生殖細胞を取り出し、オボムコイド遺伝子を欠失させます。オボムコイド遺伝子が欠失した始原生殖細胞を別のオスのニワトリの初期胚に移植し、孵化させます。その後成長したニワトリがつくりだす精子の多くはオボムコイド遺伝子を欠失したものとなります。今度はそのオスのニワトリと、通常のメスのニワトリを交配させると、父方のオボムコイド遺伝子を欠失したオスとメスを得ます。さらにそのオスとメスを交配させることで、父方も母方のオボムコイド遺伝子を欠失した、完全なオボムコイド遺伝子欠失ニワトリが産まれるのです。このニワトリは設計図となる遺伝子を持たないので、オボムコイドタンパク質をつくりません。その卵にもアレルゲンとなるオボムコイドが含まれない事が期待されます。現時点の発表では、卵についての結果は報告されていませんでしたが、ニワトリ自体は健康に育っているようです。

ゲノム編集技術により卵アレルギーを持つ人でも食べられる卵を開発できる可能性が示されました。しかしこの遺伝子組み換え卵は、現段階では法令や規則により日本の市場に出回ることはありません。この技術のタマゴを孵化させるためには、社会的な理解の広まりと、適切な判断が必要なのです。

詳細・参考 産総研プレスリリース(2016.4.7)http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160407/pr20160407.html#b

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