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2010.06.14 サイエンスブリッジニュース

SBN009_残りものには必ず福がある。

高校生の皆さんは、当然お酒を飲んではいけません。成長期の体に、アルコールが悪影響を及ぼしてしまうからです。しかし、酒を造るときに出る「酒かす」には、肝臓を保護する働きがあるという研究結果が、5月23日に開かれた日本栄養・食糧学会で発表されました。

この研究を行ったのは、お酒で有名なあの「月桂冠株式会社」の研究所です。今回の研究では、酒かすの中に、抗酸化活性をもつペプチド(アミノ酸が数個つながったもの)が17種類含まれていることを確認し、その構造を調べました。抗酸化活性とは、物質が酸化をしないように抑制する(抗う)性質がある、という意味です。体の中には、DNAやタンパク質など酸化によってダメージを受ける物質がたくさんあるので、酸化を抑制する物質は健康にいいと言われています。今回見つかった物質は、すでに抗酸化ペプチドとして医薬品にもなっているグルタチオンと同等の活性をもっていることが確認されました。

肝臓は血液を蓄える役割をもつため、強い酸化作用をもつ活性酸素などが血液にたくさんあると、それらが血流に乗って肝臓に集中してしまうと思われます。そのため、抗酸化活性は肝臓を保護するうえで重要だと言われているのです。

酒かすはもともと、日本酒をしぼり取ったあとに残ったもの。お酒造りに貢献したこうじや酵母など微生物の固まりで、さまざまな栄養分が混じっているため、お酒よりたくさんの栄養が入っているのです。お酒は絶対だめですが、酒かすは高校生の健康にも一役買いそうですね。

参考:月桂冠ホームページ http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/201005_01.html