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2010.06.20 サイエンスブリッジニュース

SBN010_お帰りなさい!はやぶさ!

2010年6月13日、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、約7年、60億キロの宇宙の旅を終えて地球に帰還しました。カプセルを放出しはやぶさ自身は大気圏で燃え尽きる様子は、大変話題になっています。はやぶさが調べたのは、「イトカワ」という地球と火星の間の軌道を回る小惑星で、大きさは長さ約600m、幅約300m、細長いジャガイモのような形で、約1年半かけて太陽の周りを回っています。

はやぶさのミッションの1つに「イトカワの表面にある物質の採取」があります。月以外の天体からのサンプル採取は世界で初めのこと。さらにイトカワは、月と違って小さな天体のため、他の天体との衝突を経験しておらず、物質の熱変性が起こっていないと考えられています。そのためイトカワは、太陽系が誕生した約46億年前の状態を今も保ち続けており、この物質を分析することによって、太陽系の歴史や成り立ちについて新たな発見が期待されています。もし、有機物が含まれていれば、生命の起源を考える材料にもなります。

2005年、はやぶさはイトカワ着陸には成功しましたが、表面の岩石を砕くための弾丸が発射しませんでした。それでも、イトカワにはほとんど重力がないため、着陸の衝撃で地表の砂などが舞い上がり容器に入った可能性があります。 しかし入っているとしても粒子は非常に細かいと考えられ、この小さな粒を調べるため、特製ピンセットが開発されました。触れた物質を汚染する可能性が極めて低い石英ガラスを熱して両側から引っ張り、ちぎれた部分をピンセットとして使います。先は幅1000分の1ミリ以下という極細です。

世界中の研究者たちが待ち焦がれていたイトカワのサンプル。14日、サンプルの入ったカプセルがオーストラリアで回収されました。はたしてその中には何が入っているのか、本当に楽しみですね。

参考:毎日新聞、JAXAホームページ