2010.07.28
サイエンスブリッジニュース
SBN016_難問に真っ向勝負を仕掛ける
「卵が先か、ニワトリが先か」。
これは、お互いに関係する複数の事象があったとき、ある片方が誕生するにはもう片方がすでになければならない、という矛盾した状況を表現しています。また、なかなか決着がつかない難問のたとえにも使われますね。
実は、この問題に真っ向勝負を挑んでいた研究者がいました。そして、イギリスはシェフィールド大学とワーウィック大学の共同研究チームが、ニワトリが卵を形成するためには、卵巣にあるタンパク質が必須であることを突き止め、「ニワトリが先」という結論を出し、各国のメディアを賑わせています。
卵を形成するのに必要なそのタンパク質は「OC-17(ovocledidin-17)」と呼ばれるものです。これ自体は以前から発見されていたものですが、研究が進むにつれて卵の構成におけるカギを握っていることが明らかになったのです。
研究チームは、スコットランド・エディンバラのスーパーコンピューター“HECToR”で卵の組織を観察しました。すると、OC-17が触媒となって殻の発達が促され、炭酸カルシウムを卵の殻のもとになる結晶に変えていることがわかりました。24時間で6 gもの殻がつくられていくのです。
シェフィールド大学のジョン・ハーディング教授は、このプロセスは非常に興味深く、新しい素材のデザインをする手がかりになると話しています。
これでひとつの大きな問題が解決しましたが、また新たな課題に取り組むのが研究者。この後、彼らはどんな問題に挑戦するのでしょうね。