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2010.08.11 サイエンスブリッジニュース

SBN018_赤ちゃん言葉は母親に効く。

赤ちゃんに向かって「あんよ」や「ねんね」など、知らず知らずのうちに赤ちゃん言葉を使っていたという経験のある人はいませんか?これは「マザリーズ」といい、大人が意識するしないにかかわらず、声が高くなって抑揚をつけた独特の話し方や赤ちゃん言葉を使うようになる現象です。ほぼすべての言語圏や文化圏で見られ、個人差はあるものの、老若男女を問わず口を突くことから、ヒト共通のメカニズムがあると考えられ、乳幼児もマザリーズを好んで聞くということが分かっています。

理化学研究所の研究チームは、マザリーズが大人に与える影響について調べました。大人を育児経験の有無や性別などで各20人程度の6グループに分類し、マザリーズを聞いた際の脳の活動を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で調べました。そして研究チームが8月10日に発表した結果によると、前言語期というまだ言葉を話せない赤ちゃんを持つ母親の脳の言語野(言葉をつかさどる部位)が最も活発に反応する一方、父親では脳内の活動は見られませんでした。次に高い反応を示したのは、「ママ、だっこ」などの2語文を話す幼児を持つ母親で、マザリーズを使わない小学生の子どもを持つ母親では、反応は見られませんでした。

前言語期の乳児は言葉を話せないにもかかわらず、母親の言語野で高い脳活動を示したことから、母親が乳児に何とか言葉を伝えようしていることが分かりました。またマザリーズを話さない状態が続くと、乳幼児へ悪影響を及ぼすことも示唆されています。

女の子のみなさん、いつか母親になったときには、我慢せずにどんどん赤ちゃん言葉を使っていきましょう。

参考:独立行政法人 理化学研究所プレスリリースより
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2010/100810/detail.html#08