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2010.09.22 サイエンスブリッジニュース

SBN23_根っこで、有害物質収集中!

今朝、ご飯は食べてきましたか?毎日何気なく口にするお米ですが、安全なお米を育てるためには、田んぼに有害物質が含まれていないことが重要です。もし、土に有害物質がたくさんあると、水と一緒にイネに吸収され、葉や茎、実に蓄積されて、それを食べた私たちの健康に悪影響を及ぼすこともあります。カドミウム(Cdは、そんな有害物質のひとつで、鉱物中や土壌中などに天然に存在する重金属です。

岡山大学の馬 建鋒教授らは、世界各地のコメの代表品種140種を同じ土壌で育て、カドミウムの蓄積量を比較し、蓄積量の多いネパールの品種「アンジャナ・ダーン」(インディカ種)と、少ない日本の品種「日本晴」(ジャポニカ種)の遺伝子を調べました。「アンジャナ・ダーン」は茎や葉など地上部分にカドミウムが多く含まれますが根の蓄積量は少なく、一方、「日本晴」は根には多く蓄積していますが茎などにはほとんど蓄積されません。これらからOsHMA3という遺伝子を発見し、この遺伝子がコードするOsHMA3 タンパク質は、カドミウムを液胞に集める機能を持っていることがわかりました。つまり、根から吸収されたカドミウムを根の細胞内の液胞に隔離することによって、地上部への集積を抑制していたのです。さらに、OsHMA3 タンパク質を人為的に増加させると、カドミウム汚染土壌で栽培しても、コメ中のカドミウム濃度が大幅に低下しました。なおこの研究成果は、2010年9月7日米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要」オンライン部版に掲載されました。

私たちと違って、嫌な環境でも動くことができない植物は、その環境に耐えるための手段を、進化の過程で手に入れているのですね。                       参考:岡山大学プレスリリースhttp://bit.ly/ak8WeB