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2010.09.29 サイエンスブリッジニュース

SBN024_国民全員、植物研究者計画。

「今日の富士山、どんな様子?」「沖縄のイリオモテヤマネコは元気かな?」。環境省が公開しているインターネット自然研究所http://www.sizenken.biodic.go.jp/)にアクセスすれば、全国の国立公園など43か所に設置されている定点カメラの画像をインターネットで見ることができます。知床半島や富士山、日本アルプスに生えている木々の様子から、北海道のタンチョウや長野県の川の中のイワナ、沖縄のイリオモテヤマネコが生活している様子まで、学校にいながら観察することができます。

国立環境研究所が9月17日発行の国際学術誌「Ecological Informatics」に発表したところによると、この画像を利用して、多数の地点の植物の開葉、開花、紅葉、落葉などの季節変化を、自動的に把握できることを実証しました。インターネット自然研究所のライブ映像のうち、全国7か所の国立公園で撮影された8年間の毎日の画像を詳細に解析し、画像に含まれる赤、緑、青の色を表す値(RGB)から、特に緑の量を表す指標(グリーンネスインデックス)を算出しました。グリーンネスインデックスによって、生態系の種類や樹種ごとにいつ葉が開いたかや、台風や害虫によってどれくらい森林がダメージを受けたかなどを自動的に推定することができました。

今後は、さらに多数の地点の画像を解析することにより、地球規模の調査が可能になります。また、研究者以外の一般の方からも画像を収集するしくみも整備されるかもしれないとのこと。そうなれば、私たちも、家にいながら生態系のモニタリングに参加できるようになるのですね。

参考:独立行政法人国立環境研究所プレスリリース  http://www.nies.go.jp/whatsnew/2010/20100928/20100928.html