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2010.10.27 サイエンスブリッジニュース

SBN030_お生まれはどちらですか?

高級な食材として知られる「天然ウナギ」は、この時期のものが一番おいしいとも言われています。ウナギは知らない人はいないくらい有名な魚ですが、実はその生態は謎に包まれています。海で産まれて川で成長するということまでは分かっていますが、海のどんな場所で産まれて、どのようなルートで川に戻り、どのようにして卵を産むのか、ほとんどわかっていないのです。

その謎の一端を解明するため、独立行政法人水産総合研究センターでは、超音波発信器をウナギにつけて、放流追跡調査を行いました。今年はこれまでの調査から、うなぎ成魚がよく捕獲される西マリアナ海嶺の周辺海域を中心に調査海域を広げました。その結果、天然うなぎ5個体と放流した養殖うなぎ6個体の全てを見失わずに最長で1週間追跡することに成功し、夜間は150mから250mを、昼間はより深い海域の350mから650mを遊泳していることが初めてわかりました。さらに、今回の調査では、卵からふ化後2日経過した子うなぎが多く捕獲されている西マリアナ海嶺の周辺で、世界で初めて卵をたくさんもった産卵直前のオオウナギのメスの捕獲に成功しました。そして、卵からふ化後約3週間経過した子うなぎがこの海域から500km離れた場所で、ふ化後約2カ月経過した子うなぎがこの海域から800km離れた場所で捕獲されたことから、子うなぎはふ化直後から高い遊泳能力をもつが分かりました。この能力のせいで、産卵期のうなぎの調査がより難しくなっていると考えられます。

うなぎの生態がどんどん明らかになれば、天然ウナギが食卓にのぼることも多くなるかもしれないですね。

独立行政法人水産総合研究センタープレスリリースURL:
http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr22/220930/