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2010.11.09 サイエンスブリッジニュース

SBN032_1位 赤ワイン, 2位 白ワイン, 3位 ビール・・・さて何の順位?

車体がふわりと浮き上がり時速500kmで走る未来の鉄道、と言えばリニアモーターカーですよね。東京と大阪を1時間で結ぶ夢の乗り物として、現在、2025年の実用化を目指して開発が進められています。その重たい車体を浮かび上がらせるのは「超伝導」という現象です。超伝導とは、ある金属や化合物を-何百℃という超低温に冷やすと、電気抵抗がゼロになる現象です。超伝導状態(抵抗ゼロ)になったコイルに電流を流すととても強力な磁石になり、地上のコイルと反発して車体が浮かび上がるのです。

より効率よく超伝導体を作るため、多くの研究者が研究を進めています。2010年7月27日、物質・材料研究機構(つくば市)の高野さんらがとてもユニークな超伝導体を生み出す方法を発表しました。それは「熱いお酒にひたす」ということ。高野さんは鉄系超伝導体に似ている鉄とテルルと硫黄の化合物がエタノールの水素や酸素と反応して超伝導体になることを発見しました。しかし、時間がかかる上とても微弱でした。エタノールはお酒に入っている成分。ある日、高野さんは自分が飲んでいるお酒で実験することを思いつきました。 70℃に温めたお酒に24時間つけた後-271℃に冷やし、超伝導体になっているかを調べた結果、ただのエタノールにつけた時よりも、5~7倍早く超伝導がおこることがわかったのです。 一番効率が良かったのは赤ワイン、2番目は白ワイン、3番目はビール。「酸化して味が落ちやすいお酒ほどよい」と高野さんは考察しています。お酒の中に含まれる100種類ほどの成分の何かが、酸素の受け渡しを促進していると考え、いま、その成分の探索を続けています。

皆さんが20歳になる頃には、「リニアモーターカーを支える、赤ワインで乾杯!」かもしれませんね。

参考  http://www.nims.go.jp/news/press/2010/07/201007270/p201007270.pdf