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2010.11.23 サイエンスブリッジニュース

SBN034_やっぱりスパコンも世界一がいい!

ひとときテレビや新聞をにぎわせていた「事業仕分け」。仕分け人の「なぜ1位なんですか。2位ではいけないんですか。」というスーパーコンピューター(スパコン)の開発に対するコメントに、日本の研究者が反論したのが印象的でしたね。このおかげでスパコンを初めて知った人も多く、逆に知名度が上がってよかったという人もいましたが、2010年11月17日、科学技術でよく使われる計算処理の速度を競う『HCPチャレンジアワード』で独立行政法人海洋研究開発機構の地球シュミレーターが世界1を獲得しました。

今回一位になったのは、自然界の現象を解き明かすために使う『高速フーリエ変換』という計算分野で、11.876TFLOPS(テラフロップス)すなわち1秒間に12兆回の「浮動小数点演算」を繰り返すことができるからです。「浮動小数点」というのはコンピューターで活用される計算方法で、極端に大きい数を扱うときに使われます。たとえば、123を「浮動小数点」で表示すると1.23×E+2(102という意味)表せます。同様にして1,230,000,000(12憶3千万)を表すと1.23×E+9となり、コンピューターは表現される桁数が少ないほうが計算が速くなるので「浮動小数点」を使った表現方法が有効なのです。地球シミュレーターではこのような膨大な計算をコンピューターを並列に160台つなげることで実現しています。

順調にいけば「高速フーリエ変換」以外の計算でも世界一の速さになるかもしれないとのこと。自動車設計、創薬など使い道の分野が広がります。皆さんが研究する頃には『ちょっとスパコンで半年後の旅の天気を調べてみよう』という時代がやってくるかもしれません。

参考:地球シミュレーターで計算した気象映像:http://www.jamstec.go.jp/esc/gallery/index.htm

話題になった次世代lスパコンの紹介 http://www.nsc.riken.jp/