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2011.01.11 サイエンスブリッジニュース

SBN039_シジュウカラ2つの鳴き声子を守る。

日本の各地に生息するシジュウカラ。体長は15cm程度のかわいらしい小鳥で、森や湿原に住むほか、民家や石垣、人間がつくった巣箱にも営巣する、とても身近な鳥です。

この鳥を研究している立教大学の鈴木俊貴さんが11日、アメリカの専門誌カレントバイオロジー電子版に発表したところによると、シジュウカラの親は、天敵のカラスとヘビに対する警戒の鳴き声を使い分け、さらにそれを聞いたひなは、巣の奥へひっこんだり巣から飛び出したり、警戒音によって違った反応をすることがわかりました。鈴木さんは、天敵の特徴をまだ学習していない巣立ち前のひなの巣箱の前に、ハシブトガラスの剥製か、透明ケースに入れたアオダイショウ(ヘビの一種)のどちらかを置き、ひなの行動を調べました。カラスを置いた巣では、親鳥が「チカチカ」と鳴き、ひなは巣の底にひっこんでうずくまり、カラスのくちばしから逃れるような行動をとりました。一方、ヘビを置いた巣では、親が「ジャージャー」と鳴き、ひなは10~数十秒で外へ飛び出しました。ヘビはカラスと違って巣の中に入り込むことができるので、ひなは巣の外に逃げるように反応したと考えられます。学習機会がないひなが親の声を聞き分けて行動を変えていることが動物で確認されたのは初めてのことです。

この研究をしている鈴木さんは、大学院に通う27歳。みなさんも数年後には、世界に注目される研究を始めているかもしれないですね。

参考文献 Parental alarm calls warn nestlings about different predatory threats, Toshitaka N. Suzuki, Current Biology, Volume 21, Issue 1, R15-R16, 11 January 2011