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2011.01.19 サイエンスブリッジニュース

SBN040_車の中の最先端技術 ~バイオプラスチック~

植物を原料とした成分を含むプラスチックを、ダッシュボードや扉の内側などに使った車が、トヨタ自動車より2011年に発売されることが発表されました。これにより、植物を原料としたプラスチック(バイオプラスチック)の利用が今後、ますます広がっていくことが期待されます。

現在の多くのプラスチックは、石油を原料としたエチレングリコールを材料としています。しかし、地中でゆっくりと数億年の時をかけて生成される有機資源である石油は、量に限りがあります。そこで、有限な資源を用いることなくプラスチックを作る技術として、サトウキビやトウモロコシを原料とする方法が開発されました。実際には、サトウキビやトウモロコシの澱粉を発酵させて生じる乳酸などからバイオプラスチックは合成されます。使用後は、焼却や微生物により分解されて二酸化炭素が生じますが、原料であるサトウキビなどが光合成により二酸化炭素を吸収して成長し、バイオプラスチックの原料となります。この循環系が働くことで、従来の石油を原料としたプラスチックの廃棄、分解の難しさや焼却に伴う二酸化炭素排出による地球温暖化への影響なども解決されることになります。一方で、家畜用とはいえ食糧を用いることで食糧不足への懸念がありますが、この問題を解決するため、食べら

  れない成分のセルロースやヘミセルロースなどの糖を材料とする方法が研究されています。

食べ物が食べ物としてだけでなく、身近な材料を作る原料にもなるなんて、世の中にはまだまだ1つのものでも複数の使い道のあるものが沢山あるのかもしれませんね。

参考:トヨタ自動車プレスリリース  http://www2.toyota.co.jp/jp/news/10/10/nt10_1004.html