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チームで微生物スクリーニングに取り組み世界初を目指す【敬愛学園高等学校 鈴木陽裕先生】

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suzukisensei敬愛学園高等学校で生物を教えながら、理科同好会の顧問も務める鈴木先生。同好会ではJST(独立行政法人科学技術振興機構)のSPP(サイエンスパートナーシッププロジェクト)や部活動支援事業の採択を受け、継続的な研究活動を推進している。赴任してすぐに理科同好会を立ち上げ、生徒とともに「生分解性プラスチック分解菌のスクリーニング」を継続的に行っている。この活動を中心にお話をうかがった。

ルーツは試行錯誤による研究活動

学生時代から生物の教員になることを志望していた鈴木先生は、中高の教員になるならある程度の専門知識や研究スキルを身につけた方が良いと考え、修士課程に進んだ。そこで選んだ研究テーマはサクラのてんぐ巣病の病原菌「タフリナ」の生態の解明だった。タフリナはサクラへの感染経路や生活環がわかっておらず、実験系も確立されていなかったため、1人でゼロから試行錯誤し実験系を組み立てた。てんぐ巣病にかかったサクラのどこにタフリナが存在するのかを遺伝子診断で調べたり、タフリナの接種実験を行い、どうやって他のサクラに感染するのかを調べたりした。大学院を修了後は青年海外協力隊として2年間、タンザニアで生物の教員も経験した。帰国後は、青森県での半年間の講師経験を経て、今の学校に赴任した。これらの経験の中で得たスキルや知識は、今の活動の礎になっているという。

研究のストーリー性を重視

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赴任してすぐに理科同好会を立ち上げた。課外活動でも自らの専門分野を活かした活動を行いたかったからだ。まず行ったことは研究テーマの決定。他校の事例や論文、ホームページ、研修会などで情報を集め、結果として「生分解性プラスチック分解菌のスクリーニング」を行うことに決めた。理由は、社会貢献性とストーリー性があり生徒のモチベーションにつながりやすいこと、また、すでに教材キットが存在し活用できると考えたからだ。テーマを決めた後は、一緒に研究をしてくれる生徒を募集するチラシを配った。当初は人が集まるかどうか不安だったが、結果6名の生徒が集まった。そして今も日々実験、研究を行っている。

先生が生徒との研究活動の中で気をつけていることは研究のストーリー性だ。たとえば土のサンプリングにしてもただ掘らせるのではなく「埋蔵金が眠っているかもしれないよ」と、その作業の先にある目的を示すことで、生徒に研究のストーリーを思い出させ、モチベーションの維持を試みている。

一緒に研究する生徒への誇り

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先生は研究活動を通し、結果のわからない実験に取り組むことで、大学で触れるような本物の「学問」を味あわせたいと考えている。また研究内容や結果を論文のかたちで文章にまとめる力や、学会や研究発表会で必要なプレゼンテーション力は、生徒が社会に出てからも必ず役立つ力だと考えている。先生は6人の生徒に誇りをもっている。たとえ高校生でも6人がちゃんとチームになって研究をすれば、世界初の発見ができ、1人の大学生と同じか、それ以上の働きができると信じている。この生徒への信頼と信念によって、おのずと研究結果もついてくるのではないだろうか。