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2013.10.10 企業の活動冊子『教育応援』コンテンツ参加者・学校募集教員研修

※募集は終了しました【教員研修会】第18回 彗星を見上げて授業をしよう(株式会社ビクセン)

講師:古荘玲子先生

 

東京都生まれ。神戸大学大学院で博士号(理学)を取得。理化学研究所、JST、早稲田大学教育学部、国立天文台などを経て、現在、都留文科大学非常勤講師および国立天文台共同利用研究員。専門は彗星の観測的研究。研究の傍ら、『彗星観測ハンドブック2004』(高校生天体観測ネットワーク(Astro-HS))や『図鑑 Move宇宙』(講談社)などの制作執筆にも携わる。

彗星の尾に刻まれた記憶の欠片を紐解く

11~12月にかけてアイソン彗星が見頃を迎え、満月よりも明るい姿を見せてくれるのでは、と期待されています。今から到来が楽し
みですが、実は光るその姿には、原始太陽系の形成の謎を紐解くメッセージが込められています。

アイソン彗星はるかなる旅

2012年9月21日(世界時)、アイソン彗星は発見されました。太陽から1~10万天文単位(1天文単位:地球から太陽までの距離)離れた「オールト雲」と呼ばれる場所から、太陽を目指して旅を続けています。オールト雲はガスやチリが凍って固まった小天体が太陽の周りを球状に覆う、とても低温の領域です。その中の1つが何かのきっかけで太陽に向けて移動を始め、彗星になると考えられています。オールト雲から来る彗星の多くは太陽を焦点とする細長い楕円軌道をもち、非常に長い年月をかけて太陽を回っています。しかし中には、アイソン彗星のように放物線のような形の軌道で、一度太陽に近づいたら二度と戻らない彗星もあります。
彗星の元となる小天体は、生まれた時には太陽から遠く離れたため、構成物質である氷やチリが熱による影響を受けていません。そのため、彗星には太陽系が生まれた当時を知る手掛かりが多く残されていると期待されています。しかも、遠い宇宙に探査機を送るのは大変ですが、彗星は自ら地球に近づいてくるのです。

第三の尾から紐解く原始太陽系

彗星を知る手掛かりとなるのが、彗星から出てくるガス分子やチリです。本体の氷が太陽熱で昇華して出てきたガス分子は、本体の周りに大きく広がったコマを作り、蛍光散乱で光ります。さらにガス分子はコマの中で太陽紫外光により壊され、やがて太陽風の荷電粒子とぶつかってイオン化し「イオンの尾」となります。一方、チリは氷の昇華にともなって放出されコマ中に拡がっていき、太陽の光を反射して光ります。チリは太陽光の光圧に押されて「チリの尾」を作ります。これらのガス分子やチリの観測から彗星を作る物質や形成された環境を伺えますが、解明
されていない謎も多く残されています。
1997年、太陽に大接近したヘール・ボップ彗星の観測で、第三の尾が発見されました。それはNa原子がつくる「ナトリウムテイル」でした。他の金属元素より低温で昇華するNaは観測される機会が多く研究が比較的進んでいます。Naを起点に彗星を探っていくことで、原始太陽系の様子を知る手掛かりをたぐり寄せることができるかもしれません。

彗星の2年ぶりの太陽大接近

都留文科大学/国立天文台の古荘先生らはアイソン彗星が久しぶりに太陽に大接近するサングレーザーであることに大きな期待を寄せています。ヘール・ボップ彗星は約1億4000万kmまで太陽に近づきましたが、アイソン彗星はなんと太陽表面から約83万kmまで大接近するのです。ナトリウムテイルを作るNa原子がどのようにチリの鉱物から出てきて、またどのように尾を形成するかは完全には明らかになっていません。今回どのようにNaが鉱物中から発生し、イオン化され消滅していくのかを調べることでその謎を少しでも解明することが先生の目標です。「鉱物の一原子を調べることは、非常に小さな一歩です。しかし今回の観測が原始太陽系でNaを含む鉱物が作られた環境を知る一端になり、このような研究の積み重ねが太陽系の始まりを解き明かすのだと感じています」と話す古荘先生。彗星の到来が楽しみです。

さらに詳しい情報を聞いてみたい方は、
下記の教員研修にご参加ください。

普段の授業、特別活動のネタ探しに!第18回 彗星を見上げて授業をしよう(教員研修)
古荘先生を講師にお招きし、彗星についての最新の研究内容をお話いただきます。また天体望遠鏡の組み立てから惑星観測の方法などを体験しながら理解することができます。

【日時】11月9日(土)13:30~17:00
※定員になり次第締め切らせていただきますのでご了承ください。

【対象】中学校・高校・高等専門学校の教員 20名

【場所】株式会社リバネス(東京都新宿区四谷2-11-6 VARCA四谷11階 メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅より徒歩5分)

【主催】株式会社ビクセン

【企画】株式会社リバネス

【協力】国立天文台

申込:ちらから(※募集は終了しました)