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2014.03.06 企業の活動冊子『教育応援』コンテンツ

教育応援企業の思い 沖縄製粉株式会社

沖縄製粉株式会社

石川愛貴さん 品質管理室

大城里奈さん 総務企画部 企画推進室

伝統を伝えながら進化を続ける~沖縄製粉 親子手作り教室~

沖縄製粉株式会社(以下、沖縄製粉)は、教育CSR大賞2013においてイベント募集部門大賞を受賞した。地元の親子に沖縄でよく食べられる小麦を使った料理教室を開催しており、参加者の総数は4500人にもなる。どのような思いから活動を行っているか、お話を伺った。

沖縄の食文化を伝える企業として

 沖縄製粉は1955年、戦後の混乱期において小麦粉の安定供給を目指して県内唯一の製粉メーカーとして創業した。小麦粉、乾麺、フスマ、プレミックス商品などを製造・販売している。今回受賞を受けた親子手作り教室の始まりは、1981年。地域貢献活動の一環として、パンをテーマとした「親子動物パン教室」を始めたことがきっかけだった。パン教室・沖縄そば教室に、サーターアンダギーやアガラサー( 沖縄風黒糖蒸しケーキ)等の、沖縄の伝統食もプログラムに新たに加え現在の形ができたのが2008年。昨年だけでも年間600人が参加している。もともと沖縄で小麦粉は、お母さんが子どもと作る伝統的なお菓子に使われており、「家族の絆」を支えるような身近な存在であった。教室を通して、家族の繋がりを再確認すると共に、失われつつある伝統食文化を若い世代に伝える一助になることが活動の目的だ。参加した子どもたちが、スーパーマーケットで沖縄製粉の商品を見て「パンは小麦粉からできるんだよ」と母親に話したり、参加した方が保育園などで地域の子どもたちに料理教室をするなど、プログラムの効果は県内各地に波及している。

社会貢献が社員を育てる

 料理教室は伝統的な食文化を守るだけではなく、想いをもった社員が育つ場にもなっている。かつて教室に参加した子どもが、社員となり今は教室に先生として参加をしているという。現在、プログラム構築の中心的な役割を果たしている石川愛貴さんがその一人だ。実は、石川さんが入社した頃は、教室を開催する人員不足により教室が中断していた。しかし、自らが中心となり現在のプログラムの基盤を作りあげた。「沖縄の食を支えることに貢献したいと思い、沖縄製を真っ先に入社先として選びました。子どものころの印象が強かったからだと思います」と話す石川さん。現在では商品開発チームを中心に毎年新入社員を入れたチームを作り、教室開催の1ヶ月前より準備を進めている。練習会を実施し、新入社員が先輩社員からレクチャーを受け、新入社員も講師となる。3年前に新入社員として参加し、現在は告知広告の作成から応募までを担当する大城里奈さんは「入社して初めて沖縄製粉の代表としてお客様と接する中で、先輩方のお客さまへの細かい心遣いを知り、改めて自分がお客様の食生活に携わっていることを実感し、プロ意識が芽生えたのを覚えています」と語る。

伝統とサイエンスという新しい挑戦へ

 石川さんの次なる挑戦は、伝統を守りながら、新しい要素を加えプログラム自体を発展させることだ。特に注目しているのは料理工程に隠されたサイエンスを伝えることだ。参加者のニーズも高く、また教室で子どもたちから受ける「なんでパンが膨らむの?」などの素朴な疑問に答えたいという思いでもある。現在はこれまで行ってきた伝統的な親子料理教室に「発酵」や「pHとムラサキイモの色変化」など理科実験の要素を取り入れようと試みている。沖縄の伝統とそこで育つ人の輪を支えながら、新しい風を起こす。その繰り返しが郷土を活性化すると感じている。今年も新しいプログラムが子どもたちを待っている。