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2014.03.28 学校の活動

vol.12【先端科学教育やってます】実験ショーから始まる物理授業

実験ショーから始まる物理授業

宜野湾高等学校 金城 靖信 先生

とかく難しそうにとらえられる物理に対する壁を取り去りたい、そんな想いから積極的に授業に実験を取り入れ、 学外でも子ども向けの出前教室を行っている先生がいる。これまでに開発した実験のレパートリーは300以上と いう沖縄県立宜野湾高等学校の金城靖信先生の実験ショーは沖縄の多くの先生から注目されている。

面白ければ忘れない!生徒の心をつかむ実験

 金城先生が実験を多く取り入れるきっかけとなったのは、以前に赴任していた学校で苦手意識から、勉強が嫌いな生徒が多く、授業の成立もままならない状況の中で何とかして生徒の興味を引くことができないだろうかと悩んだことだった。実験など手を動かすことを多く取り入れて生徒に変化が見られた時に、生徒はつまらないことはすぐに忘れてしまうが、おもしろいことはなかなか忘れないということにふと気付いた。それ以降は、年度始めの授業で、実験ショーを見せることにしている。それら実験の中身は全て一年間で学ぶ物理の内容。それぞれの単元を学ぶ頃になっても、生徒の頭の中には実験ショーでの印象が鮮明に残っている。「この公式はあの実験のことを説明しているんだよね。」と気づく生徒が現れてくれることが金城先生の狙いなのだ。

身近なスプーンで物理を魅せる

「物理は最も身近に学びが溢れている学問。」と金城先生は考えている。金城先生が実験の題材にするものは大半が身の周りにあるもの。例えばてこの原理を説明するスプーン曲げ、大気圧の原理を説明するためのボーリングの玉を掃除機で宙にうかす実験などだ。生徒に大人気のスプーン曲げでは、最小の力で硬い金属を曲げることができる力点について問いかける。そこで、てこの原理を理解することで、力が弱い女子生徒でも簡単にスプーンを曲げられるようになる。「先生、今日は何の実験をするの?」という生徒からの期待の声に答えるべく、今も日々実験のアイデアを探している。

 日常生活で浮かんだ実験のアイデアはとにかく形にする。そして他教科の先生、他校の先生にどんどん意見を求める。その繰り返しでより良い実験を開発しているのだ。「多忙な中でも、実験のアイデアを考えている時が最も至福の時間です。」という金城先生。「自分自身が楽しめないと生徒を楽しませることはできない。」というのが信念だ。今では学校だけではなく、科学イベントで親子向けにも実験ショーを見せるようになった。子どもたちに「なぜ?どうして?」という不思議を、身近な実体験を通して感じて欲しいと金城先生は話す。

公式の暗記ではない物理の本質

 生徒の興味を引きつけた後、実験ショーを楽しむだけでなく物理をどう学ばせるのかも先生ならではの考えで授業を行なっている。ユニークな方法の1つはテストのやり方だ。金城先生の物理のテストでは、あらかじめ公式を書いた紙の持ち込みを許可している。それは、「物理は公式を覚えるのではなく、どう答えを導き出したのかが重要です。答えを導き出す過程こそが物理の本質であることを理解して欲しい。」という金城先生の考えを生徒に伝えることがねらいだ。そんな金城先生の授業には県内の様々な学校から見学の依頼が来ている。