【教員研修】「植物のお医者さん」植物病研究、始めてみませんか?(vol.22)
私たちは病気になったら病院でお医者さんに診断してもらいますが、それは人間だけでなく植物でも同じです。皆さんは植物の病気についてどのくらい知っていますか?世界中の生産可能な食糧の約3分の1が植物病で失われていると言われています。「植物のお医者さん」は、植物病の原因を診断し、病原菌の生態について研究しながら、病気を防ぐ方法を探っていきます。そんな植物医師の世界にも、身近なところからスタートできる研究のフィールドが広がっています。法政大学生命科学部の植物医科学専修では、昨年に引き続き、教員の皆様に向けた研修会を実施します。
相手を知ることから研究スタート
植物病医師の研究は、まず病原菌の生態を調べることから始まります。病気にかかっている植物の病徴が見られる場所をルーペや顕微鏡で観察し、病原菌がどのような形をしているのか明らかにします。研究を進めるためには病原菌の培養方法を確立することも重要です。培養することで、菌の広がり方や、成長に適した環境条件が徐々にわかってきます。また、植物に実際に病原菌を接種することで感染した植物の中で、病原菌がどのように広がっていくのかを調べることができます。このようにルーペや顕微鏡による観察から始まり、少しずつ敵の生態を明らかにしていくのです。敵を知ることが、その防除方法を見つける重要な一歩となるのです。観察し、少しずつ明らかにしていくことから始まりました。研究を通して見つかった防除のカギは「水」でした。病原菌の第二次伝染伝搬には、「水」が必須で、胞子(分生子)が水はねによって広がることを明らかにしたのです。その発見から、とにかくイチゴ株に水がかからない状態を作り拡大を防ぐことを試みました。その結果、雨除け栽培を行い、水はねしないように点滴チューブ等で灌水する方法を取ると、発病を極めて効果的に防止できたのです。「相手を観察し、防除方法を解き明かしていく植物病の研究は、推理小説にも似たようなおもしろさがある」と、石川先生は話します。
身近なところから研究を始めよう!
植物病の研究は学校の中でも始められます。なぜなら植物の病気は実は至るところで見つけることができるからです。例えば学校内の樹木や、草花、そして雑草にさえも植物病は観察できます。黒い斑点や、白っぽいカビが見られる病気にかかっていそうな植物体を採取して、ルーペや顕微鏡で覗いてみると、そこにはミクロの植物病の世界が広がっています。発見した病原菌がどのような病気に当たるのか、現在ではインターネットで調べることも可能です。もし見つからない病原菌があったら、それは新種の発見かもしれません。植物病研究は未だによく新種が見つかるフロンティアでもあるのです。今年の夏は植物病研究に挑戦してみませんか?
一人一台の顕微鏡でじっくり体験できます
昨年度観察された病原菌の様子。
教員研修会概要
法政大学植物医科学センターで、植物病の観察方法を学ぶ、教員向け研修会を開催します。植物の病原菌ついての講義と実習に加えて、研究環境を御覧いただけるラボツアーも行います。
日 時 :2014年8月5日(火)13:30 〜16:30(受付開始12:45)
場 所 :法政大学小金井キャンパス 東館5階 〒184−8584 東京都小金井市梶野町3−7−2
(JR中央線 「東小金井」駅より徒歩15分)
内 容 :「植物のお医者さん〜身近な植物病原菌の分離・培養・観察を体験しよう in 法政大学」
費 用 :3,000円
申 込 :こちらのフォームからお申込み下さい
締 切 :2014年6月30日(月)