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2014.06.02 冊子『教育応援』コンテンツ学校の取組

【先端科学教育やってます】後戻りできない場所をつくることが、生徒の成長につながる(vol.22)

茨城県立土浦第一高等学校

藤田一輝 先生

小室浩之 先生 

2010年に始まった茨城県立土浦第一高等学校の海外研修「Science Explorers Group(SEG)」では、高校1~ 2年生の希望者40名弱がアメリカのボストン、ワシントン、ニューヨークの博物館や大学、研究機関を10日間かけて 訪問する。今年で5年目になるSEGの取り組みだが、そのきっかけは「生徒と世界の第一線で活躍する研究者とを出 会わせたい。そして、最先端は別世界のことではなく、自分も努力次第では、そこに関わることができることに気づ いてほしい」という一人の理科教員の想いだった。その想いに、他の教員も動かされ、初動から1年後には渡航が実 現した。

 

英会話の前に、 養うべきは「度胸」

こうして始まったSEGの最大の特 徴は、アメリカの最先端研究に触れる 機会が多く盛り込まれている点だ。大 学の研究室を訪問し、教授やポスドク から英語で研究紹介をうける。さらに、研究のデモを体験したり、高校生 自ら英語で質問したりすることで、限 られた時間の中でも、できるだけ生徒 と研究者が触れあえる機会を準備した。しかし、機会を与えるだけでは生 徒は成長しない。生徒自ら積極的に海 外の研究者とコミュニケーションをと れるまでに成長するには、生徒の度 胸、積極性が必要不可欠であり、普段 の日本での学校教育ではこれは養えな い。そのため、研修の 1 ヶ月前に、日 本語と英語の両方があやつれるリバネスの若手の研究者3名を学校に呼んだ。それぞれ20分ずつ研究紹介を英 語で行い、必ず1回は自分から研究者 へ質問をするようにと促した。しか し、このときは、手を挙げることがで きた生徒はほんの数名。そのような生 徒達に対し、リバネスの研究者からは「ただ聞いているだけで、自分から発 信ができないのであれば、あなたはそこに存在しないのと一緒。『日本人の 一団』という認識をされてしまうよ」 とげきが飛んだ。

 

あえてお膳立てしないことが、 自主性を生むきっかけとなる

そして迎えた研修当日。ネイティブ の研究者へ向けた生徒からの質問は、 どの訪問先でもずっと途絶えることは なかった。これまで見たことのなかっ た生徒の積極的な姿に、先生自身も驚 いたという。事前研修から研修当日ま での 1 ヶ月間、生徒は独自で訪問先の 研究の事前リサーチをしたり、自己紹 介の練習を行ったりなど、目の前に研 究者を想定し、入念な事前準備を進め ることで、度胸がついたのだろう。「10 日間の研修期間を経て、生徒が積極的 になっていく姿を目の当たりにできま した」と、今年引率として参加した藤 田先生は振り返る。昨年引率をした小 室先生も、SEG を通した生徒の変化に感 銘を受けた。「研修へ行く前は、『アメリカへ行って、すごい研究者と会うこと で、自分の情熱が見つかる』と思って いるようでした。でも実際に行ってみる と、その人たちのマネをしても仕方が ない、と気づくんです。そして『自分 で自分の情熱を見つけなきゃ』と意識 が変わる。そしてより積極的に学ぼう とする姿勢が育てられる」。土浦第一 高校の卒業生の多くは、将来、人の前 に立つ役割を担うことが多い。未来の 人材を育成するため、自分で考えて行 動でき、人を惹きつけることができる 能力を磨いてほしい。「そのために、手取 り足取り教えてあげるのではなく、自分 で考えて行動しないとどうにもならない チャレンジの場をどう作るか、それが非 常に重要です」と小室先生、藤田先生。 言語も違う。高度な専門用語が飛び 交う。そんな海外の研究室に生徒を放 り込む。そのような後戻りできない状 況に置かれてこそ、生徒の自主性と底 力が鍛えられるのだろう。


土浦第一高校SEG海外研修ボストン滞在中の訪問先

・マサチューセッツ工科大学ゲームラボ Dr. Rik Eberhardt, Dr. Philip Tan

・マサチューセッツ工科大学・ハーバード大学連携研究室 Dr. Jeffery Karp, 他大学院生・博士研究員3名

計4カ所をまわり、合計11名の研究者を訪問。「 1 人 1 回 は必ず質問する」というルールを設け、積極的にコミュ ニケーションをとり、研究者から直接刺激をうけた。 また、ハーバード大学にいる日本人留学生との交流で は、彼らから苦労話など生の声を聞くことで、留学に関する経験だけでなく、国境を越えて自分の夢を追い求める積極性やマインドに触れた。