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2014.06.02 冊子『教育応援』コンテンツ学校の活動

【先端科学教育やってます】理系と文系が融合した「出雲スタイル」(vol.22)

島根県立出雲高等学校

竹﨑 修次 先生 

平成25年度にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)、平成26年度にスーパーグローバルハイスクール(SGH) に相次いで指定された、島根県立出雲高等学校。まさに文理融合の新規教育プログラムが、花開こうとしている。 SSH、SGHの両方を担当する竹﨑先生に、これから開発する教育プログラムの骨子についてお話を伺った。

 

キーワードは全校生徒参加

出雲高校の取り組みの特長は、全生徒参加型であることだ。SSHでは、理数に興味のある特定の生徒だけを対象とするのではなく、全校生徒が協同的な学習による「課題研究」を行う。生徒 はいくつかの研究分野のゼミに分かれ 研究テーマを設定し、答えのない課題 に対しチームで考え、ディスカッショ ンを重ねる。ここから育まれるのが、 自分の意志をしっかりともつ「自立」 と、仲間の意見を取り入れてよりよい 課題解決を行う「協働」の精神だ。これを実現するためには、先生も全員参加。 「一部の先生だけががんばっていては、 この取り組みは破綻していただろう」 と竹﨑先生は言う。 昨年から始まった SSH だが、実は当 初より、理数のプログラムだけが充実してしまうことが懸念されていた。前述のように、同校では全校生徒対象のプログ ラムを展開していたため、生徒の幅広い興味に対応するには、SSH のプログラムだけではまかないきれない部分もあった。 そこで、SGH の申請に踏み切った。SGH に指定されることで、興味の裾野を広くし、文系科目を軸としたプログラムも展開することが可能になったのだ。

 

どこにいても国際的に活躍 できる人材の育成を目指して

出雲高校の生徒の特色として、地元愛が強く、ともすれば保守的になりがちで視点が内に向いてしまう傾向がある。 地元に根ざす生徒達だからこそ、出雲 の地域に貢献できるような活躍をしてほしい。竹﨑先生は、そこにグローバル の視点が必須であることに気づいた。 世界的に有名な地元企業「キシ・エン ジニアリング株式会社」では介護用品 を開発しているが、その高い技術力を認められ世界を相手にビジネスを行っている。このように、地域に貢献するには、地域にいながらも世界とつなが る姿勢や知識、スキルが必要だ。 そこで同校では「多様な背景を持った人の意見を受け入れ、それを多面的(批判的)に評価しながら、自らの意見を国際社会に発信できる人材。そして、 予測困難な国際社会を生き抜くことが できる総合力を持った人材」の育成を目指すこととした。グローバル人材というと、留学や転勤などで日本を飛び出し世界を駆け巡って活躍するような人、というイメージをもたれるかもし れない。しかし竹﨑先生は、国際社会 への貢献に、自分の居場所は関係ないと考えている。

明るい将来をイメージできる 高校生になってほしい

今の高校生の大半は、大学進学が目 的となってしまい、社会人になった自 分を具体的にイメージできる生徒は多 くない。それが、今後起こりうるグロ ーバル社会の課題解決となればなおさ らだろう。これは、特に、若者の都会 への流出が著しい地方においては切実 な問題だ。地元が好きで、地元に根ざして生きていきたいと思っているが、 地元で輝いている自分の未来を想像で きない。また、国際的に活躍している人との直接的なかかわりが少なく、国 際社会の課題解決を行っている自分をイメージできない。このような現実を打破するためにも、SSHやSGHの取り 組みで、グローバルの第一線で活躍する人達と高校生との出会いを創出し、 幅広い視野を養いたいと、竹﨑先生は 考えている。「 全国でも10校程度しかない 、SSHとSGHの指定校。文理融合の新しいスタ イルを開発し、発信していきたいです」 と話す竹﨑先生。地域に根ざした出雲 高校の教育プログラムは、日本、そして全世界の地域に適応できる可能性もある。ここからどのような人材が輩出されるのか、大変楽しみだ。