2014.07.08
研究活動事例
津波被災土壌および海水からの 新規バイオ燃料生産藻の探索【岩手県立高田高等学校】
みんなの住むまちにいる新しい藻類を探す
東日本大震災以前、陸前高田市内に校舎を構えていた高田高校は、未曾有の規模で発生した津波により、隣の大船渡市内の仮設校舎で、新たな学校生活を営んでいます。非常に多くの方々の生活を奪い、いまもなおその爪痕を残している津波の被害ですが、津波が到達した土地には、これまで研究者たちの手が届かなかった遠洋や海底の藻類が押し流されてきた可能性があると考えられています。特に、ミドリムシやボルボックスなどの微細な藻類は、地球上の90%以上が未知の種であるといわれており、津波が到達した陸前高田の土壌では、未知の微細藻類に出会うチャンスがあるかもしれません。そんな可能性から陸前高田市の土壌から新種の藻類を探す研究をスタートさせました。
世界を変える藻類の可能性
約27億年前に海の中で誕生した藻類は、高い光合成能が備わっているため、原始地球の大気に酸素をもたらすという偉業を成し遂げました。いまの地球の姿があるのは藻類のおかげといっても過言ではありません。酸素を作り出すだけでなく、栄養素をバランス良く含むため栄養補助食品となるミドリムシや、炭酸カルシウムの殻を形成するため二酸化炭素の固定に役立つ円石藻など、いまもなお我々の生活に多大な貢献をしています。近年では、オイルを産生する藻類が発見され、石油に変わる藻類バイオ燃料を作る研究に注目が集まっています。10月31日に実施した研究教室では、新しい機能を持つ藻類を見つけるために、まず陸前高田市内で採取した土壌を藻類培養用のプレートにまき、その後、37度で1 ~ 2 ヶ月間培養しながら、緑色のコロニーが形成されるかを観察しています。陸前高田の土壌にはどんな藻類が棲んでいるのでしょうか?いつか高田高校の生徒の研究が世界を変える日を目指して、藻類研究を進めています。