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【先端科学教育やっています】探究活動にエッセンスを加えて生きる力を育てる<東京都立戸山高等学校>(vol.23)

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<先端科学教育やっています>

探究活動にエッセンスを加えて生きる力を育てる

戸山_田中先生

東京都立戸山高等学校 

田中 義靖 先生

新学習指導要領では「生きる力」として思考力・判断力・表現力などの育成が重視されている。というのも、子供たちが実際に生きていく社会では課題が一つの教科・分野だけで完結していることなどあり得ない。多角的な視点で課題を捉え、知識を組み合わせて解決方法を考える力こそが、教科学習の先に必要な力となる、として教科横断的な取り組み「クロスカリキュラム」を実践する戸山高校の田中先生にお話を伺った。

 

地理・家庭科・化学をつなぐリレー授業 

 1年生の1学期、学年全員を講堂に集めて行うリレー授業では、一つのテーマに対して、地理・家庭科・化学の教員がそれぞれの教科の立場から授業を行う。例えば「大豆」がテーマの年には、大豆の歴史的な発祥地や現在の輸入について地理の先生から、豆腐や納豆などへの加工・調理法や食文化について家庭科の先生から、熱による変性などのタンパク質の科学的性質を化学の先生から話を聞くことで、多角的にものを見る意識づけを行っている。リレー授業を受けた1年生は、さらに夏休みを使って、設定した課題について解決案を考え、ポスター発表を行う文化祭へ向けて準備を行う。課題設定はリレー授業のテーマに関わらず、「色彩と洋服で人の印象を変えられるか」など、生徒達が自由に発想して、調査・研究を行う。

高校生がいかに総合力を培うか

 「例えば、違う教科で同じ単語が出てきたときに何か関連しているのかなと気づけたり、そういう広い視野を持つ生徒が圧倒的に減っている」と言う先生。昔は総合的学習が特別になくとも身についていた「生きる力」が、昔と同じ授業では身につかないのが現状だ。しかし、社会に出てから必要になる総合力は今も変わらず、環境や防災など多分野からの視点が要される課題があふれる現代では、むしろ必要性は増しているとも言える。「総合的な視点は、解決したり調べたりする段階でも必要だけど、そもそも課題を見つけるうえでも重要。全体を見渡せないと、何が課題かは見えてこない。基礎を学んでいる高校生の時期に、そのような考え方が身についていることは非常に重要」と先生は話す。

気づきと実践の相乗効果

「自然とやっているはずのことを意識化させて自分達のものにする、というのが生きる力の育成に通じる学習なのではないか」と言う田中先生。意識させることが大事であり、一方でいくら見せても自分が総合的にものを発想したり調べたりしてみないと身にはつかない。そこで、最初の気づきと、それに続く実践が効果的であると行き着いたのがリレー授業だ。まずはものの見方を示し、あとは調べ学習や自由研究の探究活動の中で、いろいろな科目の先生や専門家に話を聞くように促すのだ。

探究活動とは、元々統合的に行うもの。探究活動に取り組む学校が増えてきている今、ちょっとした気づきを与えることで、さらに効果的な活動になるのではないだろうか。

リレー授業の様子2

リレー授業の様子

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