「ゆめちから」栽培中 和歌山信愛中学校・高等学校 科学部
本プログラムでは、自給率向上の期待を集める超強力小麦「ゆめちから」の栽培研究に中高生が挑戦します。プランターでの最適な栽培手法を明らかにするために、約1年かけ研究を行い、敷島製パン(Pasco)とリバネスがその活動をサポートします。日本のパン用小麦の自給率はたったの3%。この社会課題に企業と日本中の学校が挑戦しています。このコーナーでは、本プログラムに参加する中高生を紹介します!
和歌山信愛中学校・高等学校 科学部
研究目的
施肥計画を工夫してタンパク質含量の向上を目指す
施肥計画
- 無駄な分げつ(枝分かれ)を減らすために(種まき時に与える肥料)の量は増やさない
- タンパク質含量を増やすために、期の追肥は基準区の2倍にする
- プランターでは窒素分が水と一緒に流れ出ていきやすいという予測のもと、起生期追肥、止葉期追肥をそれぞれ5回に分けて行う
参加生徒に聞いてみました!
プログラムで想い出に残っていることはありますか?
これまで小麦はあまり意識しないで食べていました。栽培期間を通して、アブラムシの駆除や水やりなど大変な思いをしたにも関わらず、少ししか収穫が無いことに対して一番の驚きがありました。さらに、小学校の頃に育てていた稲とは異なり手間暇を掛ける必要がありました。「そこまで苦労してパンが手元に届くのか」と強く感じました。
プログラムを経て変わったことはありますか?
2つあります。一つは、部活の雰囲気です。これまで実験をして楽しむ、趣味のような活動がメインでした。しかし、プログラムを通して、研究をすることの面白さに部員が目覚めていったように思います。また「研究の考え方」が身についたことで、他のテーマでも研究活動が始まり、サイエンスキャッスル2015関東大会ではポスター賞を受賞することができました。
もう一つは、自分の進路です。これまで農学=農業と思っていたので、自分には関係ないもののように感じていました。しかし、このプロジェクトに関わってみて、農学分野では様々な社会問題とサイエンスが結びついていることを強く感じました。そこから興味を持ち農学部への進学を決めることができました。
将来どのようなことに挑戦したいと考えていますか?
「ゆめちから」の栽培研究を通して、視野が大きく広がったと思います。今では和牛の減少問題やTPPなどのニュースも自分と関係がある事として感じます。農学分野にはまだ自分の知らない事がたくさんあります。大学では、動物、植物、環境など様々な分野に触れながら、さらに興味の幅を広げていきたいと思います。大学院まで進学し、研究者にもなってみたいと感じています。なんでも「楽しむ」姿勢を大事にしていきたいです。
担当者の声
敷島製パン株式会社 マーケティング部
伊藤 多恵子さん
和歌山信愛中学校・高等学校の皆さんは独創性と好奇心に溢れた研究をされていて、その経験が新しい挑戦にも生かされていて感動しました。栽培研究を通じて、日本を取り巻く多くのことに関心を持ってもらえたら嬉しいです。
Pasco「ゆめちから」ニュース
Pascoでは、「ゆめちから」を使用した商品の開発、既存商品への利用を図り、2020年までに「ゆめちから」を含む国産小麦の使用比率20%をめざしています。2015年には、ゆめちからを中心とする国産小麦のみで作った食パン「超熟 国産小麦」を発売し、国産小麦の使用比率は10%を達成しました。
今後もパンづくりを通じて食料自給率向上に貢献していきます!
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各校の活動の様子をブログで公開しています
ぜひご覧ください。
「ゆめちから」栽培研究プログラム 活動ブログ
記者のコメント:瀬野 亜希
プログラムに参加してくれた生徒にとって、「ゆめちから」の研究が次の一歩を踏み出すきっかけになったようでとても嬉しく思います。彼女のような次世代の研究者が生まれることで、未来の「食」や「農」の世界を変えていくことができるはず!