佐倉アカデミア 株式会社常磐植物化学研究所講座「植物の成分を精製しよう!」
教育応援企業の株式会社常磐植物化学さんから、教育活動実施レポートをいただきました!
[概要]
日時:平成28年7月20日
場所:株式会社常磐植物化学研究所
タイトル:植物の成分を精製しよう!
内容:カンゾウ有効成分グリチルリチン酸をカンゾウ根抽出液から薄層クロマトグラフィーにより分離・検出する体験実習を通じて、植物から特定成分を精製する原理・技術を学ぶ。
対象:高校1年生
参加者:千葉県立佐倉高等学校1年生20名
株式会社常磐植物化学研究所(tokiwa)では、社会貢献活動の一環として小学生から高校生を対象とした実験講座を開催しており、この講座を通じて科学や実験について興味を持たせ、次世代の科学技術系人材の育成を目指しております。
千葉県立佐倉高等学校は、平成25年度4月に文部科学省によるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校となり、その取り組みの一つとして、SSHの認定初年度よりtokiwaが開催する実験講座を受講していただいております。本年度も7月20日(水)に1年生20名を対象とした「植物の成分を精製しよう!」と題した実験講座を受講していただき、その後本社敷地内の工場施設やハーブ園を見学していただきました。
講座のはじめに、tokwiaの紹介映像を放映し、佐倉高校の皆さんに地元に植物を取り扱っている専門会社があることを知っていただきました。続いての実験講座では、複雑な組成である植物から特定の成分を精製しました。実験試料として、食品、生薬や医薬品、化粧品で広く使われているカンゾウを用いて、その根の抽出液から、甘味料や抗炎症作用を有するグリチルリチン酸という成分を薄層クロマトグラフ法により分離させ、紫外線照射下で検出していただきました。クロマトグラフィーの原理や実験の技術的なものは、高校生には難しかったかもしれませんが、それでも参加者の皆さんは真剣に実験に取り組み、精製の原理や技術を理解しようとする姿勢を示してくれました。実験のなかで「展開層の中にある濾紙は何のために使いますか?」などの具体的な質問には、好奇心や知識に対する積極性を感じました。また、食品用途のグリチルリチン酸を実際に口にして、今回の実験で精製しようとしている成分が、実は砂糖より遥かに甘く、しかも特有の味があるということに驚いていました。
実験講座の後に、工場見学を実施いたしました。実際の植物精製工場では、理科室での実験が数百倍以上のスケールで行われています。普段滅多に見る機会がないため、皆さんは植物精製工場に興味津々だったように見受けられました。「製造のライン名はどんな意味ですか?」「クリーンルームはきれいなのに、何でエアシャワーが必要なのですか?」といった質問を積極的かつ素直に投げかけてくれました。実験だけではなく、生活の中であまり関わったことのなにものに対しても、こういう姿勢でいられることが大事なことだと思います。
工場見学と同時に行ったハーブ園の見学では、ハーブというと乾燥された葉っぱなどの加工品以外は、元々の状態を目にする機会は少ないと思います。そのため、様々なハーブを見て、実際に手で葉っぱをつぶし、出てきた香りを感じるなど、様々な体験をしていただきました。また、ハーブ園の休憩では、フレッシュなハーブティーを堪能しつつ、ハーブについての知識も学んでいただきました。終わりに、ハーブに関するクイズを行いました。積極的に挙手する皆さんの姿勢からは、学びを活かそうとする意識を感じました。
今回の実験講座や工場見学では、理科室で習ったことが、スケールは違っても実際の工場では同じようなことが行われていることを学んでいただけたと思います。生活の中で触れ合っているハーブ、お菓子、化粧品やその添加物は植物由来することが極めて多く、植物から学べる知恵、知識はいくら勉強しても足りません。その広大な世界に飛び込むのが、研究者であり、一企業の研究員もまた然りです。学生の頃から、日々目にするものから多くを学び、その学んだことから、もう一歩もう一歩と、さらに踏み込もうとする姿勢や考え方は、今後どこで何をするにしても大切なコトだと思います。是非本講座で示してくれた姿勢をもちつづけていってほしいと思います。
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