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生命のルーツを解く夢を、宇宙へ打ち上げろ 山岸 明彦

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地球に現れた最初の生きものは微生物といわれていますが,これらがどのように誕生したかはいまだ解明されていません。有力な説のひとつに,微生物は地球で誕生したのではなく,別の惑星から地球に飛んできたという説があります。しかし,真空,高温や低温のくり返し,降り注ぐ紫外線や宇宙線など,宇宙空間は微生物にとって非常に過酷な環境。「本当に微生物は宇宙空間を移動することができるのか」。東京薬科大学の山岸明彦さんは,研究室だけでなく宇宙も研究フィールドとし,その疑問に挑んでいます。

微生物をそのまま宇宙空間にさらすと死んでしまうことは,さまざまな実験からわかっています。そこで山岸さんが考えた仮説は「微生物が団子のようにかたまりとして飛んできた」というもの。「表面は過酷な環境に耐えられず死んでしまうでしょう。しかし,内側の微生物は表面の仲間に守られ,生き延びることが可能かもしれない」。実際,地上では微生物がかたまりとなり大気中を飛んでいるそうです。

山岸さんはJAXAなど26機関と協力して10年がかりで準備をし,ついに2015年4月,微生物のかたまりをロケットに積んで打ち上げました。それから1年間,宇宙空間にさらした微生物が,2016年8月に無事地球に戻ってきました。「生存しているものがあったら,微生物が宇宙空間を長時間移動したとしても生きることができる証拠になります。そして今度はどれくらい長期間生きられるのかも調べなくてはいけない」。まだ宇宙空間にさらし続けている残りの微生物は,来年,再来年と回収され分析される予定です。

まだ分析は始まったばかり。生命誕生のなぞを解く証拠が見つかる瞬間は,すぐそこまで近づいているかもしれません。 (文・新庄 晃太郎)

取材協力:東京薬科大学 生命科学部 応用生命科学科 教授
山岸 明彦さん

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