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2013.11.16 サイエンスブリッジニュース

SBN151_ブラックホールは「本当に」存在する!?

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アインシュタインの相対性理論で存在が予測され、とても重く、強い重力のために光さえ脱出することができない天体「ブラックホール」。自分が吸い込まれたらどうなってしまうのだろう、と考えたことはありませんか?意外なことに、ブラックホールが実在するという直接的な証拠はこれまで得られていませんでした。今回、理化学研究所、京都大学、日本大学、東京大学の共同研究グループにより、ブラックホールの存在の証明に近づく大きな発見がありました。
「はくちょう座X-1」というブラックホール候補の天体は、周辺をガスに覆われています。ブラックホールは直接観測することができないため、この天体がブラックホールであることを証明するためには、ブラックホールの極めて近くのガスの様子を観る必要があります。しかし、そのような解像度を持つ望遠鏡は存在しません。そこで研究グループは、ガスが発するX線の色や明るさを観ることで、ガスの挙動を調べる方法を開発しました。しかし、出現するX線のエネルギーが非常に高く、これまでは正確に検出する技術がありませんでした。そしてついにX線観測衛星「すざく」を用いることで、初めてブラックホール近傍のガスの温度変化をとらえることに成功しました。ガスはブラックホールに落ち込むわずか1/100秒という瞬間に、10億度を超えるまで急激に加熱されることがわかったのです。今回の発見は、ブラックホールの理論で予測されたガスの温度上昇やX線の明るさ増加が確認され、ブラックホールの存在の直接的証明に近づく成果です。
日本が関わるこれらの衛星技術は世界をリードしており、他の国では同程度の衛星打ち上げは2020年以前には予定されていません。世界を日本がけん引する宇宙観測、今後もどのような宇宙の謎が解明されるか楽しみですね。

 

参考:http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130404_2/

 

記者コメント:神秘的な宇宙。なぜかわからないけれど、わくわくする世界が宇宙にはありますよね。ブラックホールは実在するものと思っていましたが、まだ証明されていなかったとは驚きでした。(斎藤)

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