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2013.12.01 冊子『教育応援』コンテンツ

【読物】今日の「挑戦」は、7年後の未来につながっていく(vol.20)

未来の教育

今日の「挑戦」は、7年後の未来につながっていく

「中学生の時に受けた実験教室をやりに、母校に戻ってきました」

カリフォルニア大学ロサンゼルス校 吉野公貴 さん

ーー7年前の教室で、心に残っていることは?

DNAの抽出や解析などの本格的な実験も良かったのですが、一番心に残っているのは、人です。根粒菌の研究で世界の食料問題を解決しようという人と、化学で人工抗体を生み出そうという人が『化学と生物、どちらが世界を救うか』というトークバトルをしてくれたことがすごく楽しかった。「こんなすごい研究があるんだ」と感心したのはもちろんですが、「情熱を持ってやっているのってかっこいい」と思いました。結局、同じ教室に3年連続参加しましたが、毎回違う研究者に会え、その場の「アドリブ」で話が聞けるのが楽しかったのです。

 

ーー大学は理系に進み、今度は自分がやろうと日本へ行ったのですよね。

好きな科学で、小さい頃から興味があった環境問題の解決に関わりたいと考えて進学しました。現在のテーマは好熱菌の遺伝子を操作し、紙に含まれるセルロースからガソリンに負けない燃料を作り出すことです。進路決定のきっかけになった実験教室を、今度は自分がやってみたい。そう思い、夏休みを利用して日本へ行き、当時プログラムを実施した(株)リバネスで2か月間のインターンシップに参加しました。そこで企画を作る方法を学び、仲間を集め、母校の先生の協力を得て、今回の教室が実現しました。

 

ーー実際にやってみてどうでした?

想像以上に楽しかった反面、難しかったのは、「科学っておもしろい」という感覚を共有することでした。生物への興味から私の研究に興味を持つ子もいれば、エネルギーの話に興味を持つ子もいます。話せることが一通りではダメだと痛感しましたし、生徒と話をして自分の研究が様々な分野とつながっていることにも気がつきました。もっと勉強しなきゃ、と思いましたね。準備も2か月近くかかってしまい、相手が何に興味を持つか、どんな話をしたらいいかを考えてもなかなか形にならず、すごく苦労しました。

 

ーー両方を体験してみて感じたことは何ですか?

今回、プログラムの最後に、生徒が「来年もやってください」って言ってくれたことが本当に嬉しかったです。それって「また会いたい」ということですよね。お互いに感動や共感を得られる「出会い」を今後も作っていきたいと思いました。

 

<実験教室の様子>

11-2-2

テーマはiPS細胞が肝臓細胞に分化したかを、画像で見分ける方法の開発を目指す研究。正しく画像で見分けられたかを判定するため、DNA鑑定に挑戦した。

(協力:育英セミナー カリフォルニア・アーバイン校)