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2013.12.22 サイエンスブリッジニュース

SBN184_町工場の想いをのせ、江戸っ子1号海底へ!

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通学路で通り過ぎる小さな町工場「何作ってるんだろう」なんて思ったことありませんか?実は世界初に挑戦する最先端開発現場かもしれません!11月24日日本の4つの町工場の想いをのせた深海探査機「江戸っ子1号」が世界で初めて深海7800mでの魚類の撮影に成功しました。

 水深200mより深い所は深海と呼ばれ、光が届かないため特殊な生態系が作られていると考えられています。しかし、深海ほど水圧が大きく、探査機を作るには高い技術力が必要となることから、あまり調査が進んでいませんでした。これまで魚類の撮影記録は7700mが最深です。この深さでは水圧によって1cm2あたり770kgの重さがかかります。今回は、杉野ゴム化学工業所(葛飾区)、浜野製作所(墨田区)、ツクモ電子工業(大田区)、パール技研(千葉県)が主体となり大学と研究機関が協力して、それぞれゴム、通信、充電、撮影といった得意分野を活かしながら深海8000mを目指す深海探査機を作成しました。高さ約1.5m金属の板に、ガラス球を3つはめ込み、その中に照明器具や3Dビデオカメラなどを取り付けました。成功のキーポイントの一つは装置が入るガラス球をいかに均一な球体にすることができるかです。球体は圧力がかかると全ての面に圧力が分散されるため、四角柱などの角のある立体と比べ圧力にとても強い構造です。またガラスは圧縮を受けると縮み、壊れにくいという性質を持っています。試行錯誤を繰り返し真円に近いガラス球を作成し、800気圧に耐えることを予備実験で証明しました。その他にも町工場の高い技術力から生まれた高圧に耐えるゴム製のアンテナ音波で重りを切り離す装置などを組み合わせることで江戸っ子1号は深海にたどり着き、魚類の姿を撮影することに成功しました。1体当たりの制作費が2000万円程度に抑えられたことから、今後深海調査の発展が見込まれます。現在、後継者不足が問題となり町工場は廃業に追い込まれています。しかし、こういった熱意あふれる日本のものづくり企業が技術を活かすことで、世界に通じる研究拠点になるかもしれません!

 参考: http://edokko1.jp/project3.html

記者のコメント:

リバネスはこの町工場の1つ、浜野製作所さんと一緒に墨田区の活性化を行っています!日本の深海探査機「しんかい6500」が6500m潜ることから考えても今回の記録はすごい!

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