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2014.12.01 冊子『教育応援』コンテンツ学校の活動

自分の未来を切り開ける人材を育てたい

かえつ有明中・高等学校 福冨 高彦 先生

 

かえつ有明中・高等学校は、2015年度より独自のカリキュラムを導入した「高校新クラス」を新設する。時代に合わせて教育ビジョンを打ち出してきた同校が考える「21世紀を生き抜く力」とは。開発したカリキュラムにかける想いを福冨先生に伺った。

 

自ら考え、行動する習慣を

同校で2015 年度から始まる「高校新クラス」の特色の一つが、入学直後の5 月に用意されているケンブリッジ大学での研修だ。生徒は研修の2 週間の間、まず「考える」ことを徹底的に経験する。この中には生徒同士のディベートをはじめ、現地の高校生と一緒になってディスカッションし、提示された課題に対して解を見つけ出すプログラムも設けられている。受け身なだけでは解決できない課題を提示することで、生徒が自ら行動を起こすきっかけを作り出すことがねらいだ。

この新しいカリキュラムの最終ゴールは、課題の発見から解決までを『自分の力』で実現すること。そのためには、個々が主体的に行動することが不可欠だとカリキュラムの開発に関わった先生は考える。「私たちも必要以上に誘導したりせず、あえて出し惜しみしようと思います」。生徒が自ら行動する力を育むには、教員が教え過ぎないことも重要になる。与えることはぐっと我慢して、生徒たちに受け入れる土台ができ上がり、自分から知識を求めてくるまで、じっくり待つことが大切だと考えている。

 

意見を混ぜ合わせ新しいものを生み出す

生徒が自ら考え、行動することは、高校3年間を通じて教育のベースとなっている。教員から生徒へと、一方向的に教える講義形式の授業を最大限減らし、生徒一人一人が授業を作る一員となるように工夫している。また、授業とは関係なくクラス全体に意見を交換する習慣をつけようという試みもある。「覚えることは一人でできるが、新しいものが生まれるのは意見が混ぜ合わされるとき」。自分の意見を発信し、他者の意見と交わらせる機会を積極的に作り出すことで、自身の中に新しい考えが生まれる経験を生徒に実感させようとしているのだ。「一度考える習慣さえ身に付けば、生徒たちは身近なところから、疑問を見つけてくる。この点に関しては、先入観を持たない子どもたちのほうが大人よりずっとうまい。あとは、彼らの高校生らしい視点を大切にして、素朴な疑問を『課題』の形にうまく引き上げてやればいい」と先生は話す。

 

個々の課題に立ち向かう

「とりあえず大学に行く、とりあえず働く、と自分の進路選択を後回しにしようとする生徒には、『あなたの人生はいつから始まるの?』と問いたい」。これからは、社会の歯車となって与えられたことを行うのではなく、やりたいことを実現するために個々の色を表現する時代がやってくる。「自ら課題を発見し、解決までを『自分の力』で実現する力を身につけ、社会にある様々な課題に対して独自に取り組める人材になってほしい。」と、先生は新しいカリキュラムにかける想いを語った。やりたいことがあるので大学へは行きません、そんな風に言い出す生徒が出てくることも、密かに期待しているそうだ。生徒がどんな課題を見い出して、仲間たちと3 年間を過ごすのか今から楽しみだ。