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2016.06.24 サイエンスブリッジニュース

vol.285植物と根粒菌の主従逆転! 根粒菌がジベレリンを合成し、宿主の根粒数を制御する仕組みを発見-2016/6/24

「ちゃんと栄養あるもの食べなさい!」なんて、耳タコなセリフかもしれませんが、栄養に欠かせないアミノ酸などの窒素化合物はだれによって作られるのでしょう?食物連鎖をさかのぼると行き着くのは窒素固定。これは、空気中にある窒素分子をアンモニアなど窒素化合物に変える働きです。実は、窒素固定ができる生物種は、地球上ではごくわずか。その1つが根粒菌です。

根粒菌はマメ科植物と共生し、「根粒」を形成し、その中で窒素固定を行います。根粒菌は固定した窒素を、栄養分としてマメ科植物に提供しています。実は、根粒は多ければ多いほど良いというものではなく、適切な数に保つことが重要で、数の調節は植物側が行っていると考えられてきました。しかし今回、京都大学の植田充美教授、立上陽平博士課程学生らの研究グループにより、その見解がくつがえされました。研究グループは、ミヤコグサ根粒菌「Mesorhizobium loti(以下、M. loti)」が植物に共生しているときだけ発現する遺伝子群に着目しました。この遺伝子群を破壊すると根粒数が増加することがわかりました。そしてこの遺伝子群は、植物ホルモンの1つ、ジベレリンの合成に関わることもつきとめました。そして、ジベレリンが合成できないM. loti をもつ植物に、ジベレリンを外部から与えると、根粒が標準的な個数まで減少したことから、ジベレリンの根粒形成抑制作用も確認されました。これらの結果から、根粒を形成した根粒菌は、ジベレリンを合成することで新たにできる根粒数を調節していることが明らかになりました。微生物におけるジベレリン合成遺伝子と合成経路を特定したのは世界初の快挙だということです。この研究により、植物側の生育を促進できる根粒菌を作り出し、各種農作物の効率的な生産にも応用できる可能性が出てきました。

高等植物の植物ホルモンとしてよく知られているジベレリンを、根粒菌が作りだし、高等植物を操っていたなんて、根粒菌の底力をまざまざと見せつけらた気分です。細菌はまだまだ未知なるパワーを秘めています!

詳細・参考 京都大学プレスリリース

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/documents/160616_1/01.pdf(2016/6/16)

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