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vol.288ヒトにもあったぞ! 網膜の再生能力スイッチ-2016/11/01

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切っても、また生えてきてもとに戻る。そう聞くと、みなさんの頭の中にはトカゲのしっぽを思い浮かべるのではないでしょうか。身の危険を感じたり、つかまれるとしっぽを切り離し、敵がそのしっぽに気を取られているすきに逃げます。しかし、なくなったっしっぽは、また元通りにはえてきます。生き物のなかには、実は、しっぽだけでなく、視力に大きくかかわっている眼のなかの網膜(もうまく)という部分を失っても再生できる生き物がいます。それはトカゲによく似たイモリです。

筑波大学の研究チームらは、Pax6というスイッチが働くことによって、イモリは網膜を再生することができることをを明らかにしました。大変興味深いことに、ヒトもこのPax6のスイッチをもっているのです。しかし、ヒトの場合は、このスイッチが入っても、網膜を再生するのではなく、筋線維芽細胞(きんせんいがさいぼう)と呼ばれる細胞に分化し、網膜の傷口を覆い収縮性の膜をつくり、網膜を剥離させてしまい、「増殖性硝子体網膜症(ぞうしょくせいがらすたいもうまくしょう)」という病気を起こしてしまうのです。研究チームは、イモリの祖先もヒトと同様に網膜再生能力はなく、ヒトの増殖性硝子体網膜症とおなじ症状がおきていたと考えています。しかし、進化の過程で、イモリではなんらかの変化が起き、網膜を再生する方向に向かうようになったのではないかと考えています。

イモリの網膜再生能力に関わっているスイッチをヒトも持っているとは驚きですね。しかし、そのスイッチの使い方で次第で、一方では「再生」、一方では「炎症」という方向にむかってしまうのです。イモリのこのスイッチの使い方の研究が進めば、網膜に傷がついたとき、私達ヒトも自分の力で網膜を再生できるようになる日が来るかもしれません。

ヒトも再生能力のキーとなるスイッチをもっているんですね!うまくそのスイッチを使ってヒトも網膜を再生できるようになる日がきてほしいです。

筑波大学プレスリリース (2016/9/19)
http://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/160919chiba-1.pdf

ライター:花里

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