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vol.289葉っぱがギザギザになる仕組みを解明 〜2つのホルモンの不思議な関係〜-2016/11/25

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 葉っぱの絵を描くとき、縁のギザギザまで描く人は、なかなかの観察力の持ち主かもしれません。サクラやタンポなど、ギザギザの葉をもつ植物は意外とたくさんあります。今回は葉の形についての新発見を紹介します。

 植物の成長は、植物自身がごくわずかに作り出す植物ホルモンと呼ばれる化学物質によりコントロールされています。高校生物の教科書にも出てくる、植物ホルモンのオーキシンは、植物の成長を促進することが知られており、オーキシンが集中している葉の部分は、他の部分と比べて早く成長して葉に突起を作ります。しかし、どうして同じ葉の中でオーキシンの濃淡が生まれるのか、その原因は詳しくわかっていませんでした。今回、名古屋大学、奈良先端科学技術大学院大学、米国ワシントン大学の研究グループによって、EPFL2という植物ホルモンによる、葉っぱのギザギザをつくる仕組みが明らかにされました。

 EPFL2は最近発見されたものの、その働きは詳しくわかっていませんでした。そこで、遺伝子組換えが容易なシロイヌナズナという植物の遺伝子を操作してEPFL2を作れないようにし、その働きが調べられました。すると、本来ギザギザになるはずの葉が突起のない楕円形になったことから、EPFL2 が葉っぱのギザギザを作る仕組みに深くかかわっていることがわかったのです。さらに研究の結果、EPFL2がある部分ではオーキシンの生産が抑えられ、一方オーキシンがある部分ではEPFL2の生産が抑えられ、その結果として、葉の場所によってオーキシンの濃淡がつくられていることがわかりました。シロイヌナズナのギザギザはオーキシンが集中して成長が促される部分と、EPFL2によってオーキシンが集中できず成長が抑制されている部分の存在によって形成されていたのです。

 それでは、オーキシンが集中してEPFL2が作られなくなるのと、EPFL2が作られてオーキシンが集中しなくなるのはどちらが先なのでしょう?この「鶏が先か、卵が先か」のような疑問に対する答えはまだ見つかっていませんが、このような仕組みはフィードバック制御と呼ばれ生物の仕組みで広く見られています。この研究が応用可能になれば将来、新しい形状や、形状の変化による新たな食感の野菜を創ることが可能となるかもしれません。

名古屋大学プレスリリース (2016/9/2)
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20160902_itbm.pdf

ライター:戸上

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