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2013.06.03 冊子『教育応援』コンテンツ学校の活動

『教育応援VOL. 18』常に探究する思考を養い、研究活動につなげる

会津学鳳高等学校は、2010年4月よりSSHの指定を受け、現在SSH探究部50名がそれぞれグループで研究テーマを持ち活動を行っている。この度サイエンス・キャッスル in TOKYOにて「カイコガの体内機能の進化~どうしてエリートカイコガは大食漢になったのか?~」の発表でリバネス賞を受賞した研究を指導している矢澤先生にお話を伺った。

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探究部として常に考える姿勢を

「なぜそうなのか、まずは自分で考える」ということを、先生は部員たちに常に話している。すぐに答えを教えるのではない、自分がその答えを得るための理由を探究するように心がけているのだ。たとえば、新しいタマネギと古いタマネギを同様の条件で水耕栽培して一方は根を出したが、もう一方は根を出さなかった。「どちらが新しいタマネギなのかその理由を考えてみよう」と問いかける。知識の少ない彼らの答えは間違っていることもあるが、ここでは探究のために常に考える癖をつけることが重要なのだ。仮説を立てて物事をとらえることで、根底にある本質をみきわめる眼を養うのが目的だ。

地域に根ざした産業の発展を科学的に調査

今回の発表は2 年間の研究成果がまとめられたもので、卒業生を含めるとこれまでに11 名の部員が研究に携わってきた。会津の養蚕の歴史を調べたとき、現代品種は明治以前のものと比べ絹糸の生産量が倍化したことを知ったことから研究が始まった。みんなで文献を調査し、飼育方法の内容は多いが、生体機能の進化に関する研究報告は少ないことに気がついた。そこで、自分たちでカイコガの体内機能にどのような変化がおきたのか研究することにした。これまでカイコを飼ったこともなかったため、時には飼育しているカイコに病気が蔓延したこともあったが、専門家に指導を受けながら安定したデータを得られるようになり、研究をまとめることができた。今後は5 齢幼虫の絹糸腺を直接調査して、今回の考察を検証する予定だ。 

研究哲学を学ぶ

実際の研究における探究活動でも先生の工夫がされている。研究を引き継いで行うにあたり、先生が教えるのではない。先輩が後輩に研究手法を教え、後輩が研究というものの考え方を学ぶという手法をとっている。また研究で課題が出てきた場合には必ずグループで協力して取り組むことを学んでいくのだ。「研究を行う上で、実験や調査で終わるのでなく発表まで行うことを心がけている」と先生は語る。発表を行うことで、部員が研究を自らのものにすることができ、参加者からのフィードバックを通じて見落していた点や新たな視点を持つことができる。また、研究全般を通してうまれた様々な人々との出会いが、部員たちの「引き出し」をさらに増やしていくという。今後も探究のための思考を鍛えられた研究発表に期待したい。

aizu2リバネス賞受賞式の様子